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薬物事件の事例

薬物事件の事例

薬物事件の事例(覚せい剤自己使用事件)

大学生のA君は、大学の友人に誘われて遊びに行ったクラブで、友人から勧められて、面白半分で違法薬物に手を出してしまいました。その後、A君は覚せい剤を繁華街で購入し、自宅でも使用するようになってしまい、ある日路上で警察官から職務質問を受け、警察署での尿検査を経て、覚せい剤取締法違反(自己使用)の罪で逮捕されてしまいました。

警察の取調べに対し、A君は、覚せい剤を使用していたことは認めましたが、いつ釈放されるのか、今後起訴されてしまうのか不安に感じる一方で、強盗や万引きと違って、誰を困らせているわけでもないのだから、そこまで大事にならないのではないかとも感じています。今後A君はどう対応すべきでしょうか。

事例の解説

誰もが覚せい剤に手を染めるわけではありませんが、ふとしたきっかけで使用を開始し、どんどん依存度を高める傾向にあるのが、違法薬物の特徴です。

A君は、覚せい剤を使っても、誰も困らないのだからと感じているようです。確かに、覚せい剤自己使用罪(覚せい剤取締法違反)に直接の被害者はいません。しかし、近年、薬物に対する社会の態度は厳しさを増すばかりであり、それを受けて裁判所の判決も厳罰化傾向にあります。

さて、上のケースで、A君は今後どうすべきでしょうか。

A君は必ず起訴されてしまうのでしょうか。A君に前科がなく、覚せい剤使用の常習性が認められないならば、検察官が起訴しないこと(これを「不起訴処分」といいます。)もあるかもしれません。しかし、A君の覚せい剤使用経歴が長期にわたっており、強く依存性が認められるような場合には、前科がなくとも起訴されることも十分考えられます。

それでは、起訴されてしまったら、確実に刑務所に行くことになってしまうのでしょうか。

薬物犯罪では、裁判所は、A君が前科、特に覚せい剤自己使用の前科があるか、あるとしたらいつころから覚せい剤の使用を再開したか、又はどの位の頻度で使用していたか、といった常習性を重視します。また、犯行状況から、薬物を使用することへの規範意識が欠如していないかについても同様に重視します。こうした様々な事情を考慮して、執行猶予付きの判決を下すべきかどうかを判断します(執行猶予がつけば、すぐに刑務所に行くことはなります)。

このような裁判所の判断傾向からすると、一度覚せい剤自己使用の罪を犯してしまうと、事後的に良い量刑事情(執行猶予をつけるか、何年の懲役刑を言い渡すか、という点に影響する事情を「量刑」といいます)を集めることはなかなか困難であると言えそうです。

また、逮捕勾留されている間は、当然学校や職場には行けなくなってしまします。再び社会復帰するためには、釈放に向けて警察や検察に対して働きかけることが必要です。こうした働きかけは、刑事事件を得意とする弁護士に依頼するのが近道です。

A君が犯した覚せい剤自己使用の罪は、国選弁護の対象になっています。しかし、覚せい剤自己使用の罪は、経済的に裕福な人でも犯すおそれの高い犯罪であり、この場合、早期の段階から弁護士に依頼し、私選弁護人を付与することで、早期の身体の釈放が実現され、より充実した弁護をすることができ、起訴されたとしてもより有利な判決を受けることができる可能性が高いです。

このように、薬物犯罪の知識経験の豊富な弁護士に一刻も早く相談することが、薬物犯罪についても必要となるわけです。

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